2022/04/18

●おしらせ。『文学ムック ことばと vol.5 ことばとわたし』が届きました。

「騙されない者は彷徨う」(タイトルはラカンセミネールからきています)という短篇小説を書いています。

書かれている「できごと」の95パーセントが実際にあったこと(実際に見た夢も含めて)という意味では「私小説」なのですが、夢と現実が境目なく繋がって行ったり来たりしたり、時空構造がおかしなことになっていたりします。

(余談ですが、作中で描写されている映画はデヴィッド・リンチの『ワイルド・アット・ハート』です。)

 

 

 

 

●夢。これからパーティーに行かなければならないのだが、何かしらの原因からか抵抗があり、気が重い。何かおみやげのようなものを買って行けば行きやすいのではないかと姑息なことを考える。同時に、自分にはそのような気遣い(人の家に行くときにはおみやげを持参する、というようなこと)が決定的に欠けているのだと反省する。ただ、おみやげを買おうにも、近くにはコンビニくらいしか店がなく、コンビニに入るが適当なものは何もない(コンビニの通路はやけに狭い上に人が多く、すれ違うのにも苦労する感じで、ここで何かを選ぶのは困難だ)。どうしたものかと歩いていると、団地の広場に多くの屋台が出ているのが見える。近づいてみると、ほとんどの屋台が既に店じまいの準備をしている。失望するが、そのなかで一つだけ、まだ商品を並べている屋台がある。アジアテイストのご飯や惣菜を売る屋台のようだ。残り少なくなっている商品から、タイ風のチャーハンを選び、これをおみやげにしようと思い、多めに購入する。しかし、買うまで気づかなかったのだが、それはチャーハンというよりも雑炊のようなものに近く、どろっとしたスープのなかに米や具材が浮いていて、そこには金魚くらいの大きさの小魚が生きたままで何匹も泳いでいる。プラスチックの器に盛られ、フタがされるが、とても持ちにくいし、少しでも傾けるとスープがこぼれてしまいそうだ。これを持って会場まで行くことは途方もなく困難なことだという諦めの気持ちが強く湧き上がる。この魚は、生きたままで食べちゃっていいんですか、と屋台の人に聞くと、勿論ですよと言われる。だが、そう言われても自分にはこれを食べることはできないなあと思う。