2023/11/27

⚫︎八王子の100円ラーメン復活というニュース。このニュース映像の何に感心したかと言って、新しくオープンした店は前にあった店とは違う場所にあるみたいだけど、街の人にインタビューしている場所は、ちゃんと前に100円ラーメンの店があったところだということ(おじいさんがインタビューに答えている映像で、背景に映っている「ダイヤモンド 貴金属…」と書かれた看板のあるところに店に上っていく階段があった)。地味にちゃんとした取材だと思うのだけど、この意味がわかる人はほとんどいないだろうなあと思って気に掛かったのだった。

(新しい店は八王子駅の周辺にあるようだが、以前にあった店は西八王子駅の駅前にあり、距離もそれなりにあって、取材も二度手間になるだろう。)

八王子“青春の味”100円ラーメン 12年ぶり復活 なじみの元客が思い継ぐ【詳細版】【知ってもっと】(2023年11月27日) - YouTube

100円ラーメンの「満福亭」は地元では知らない人のいない名物店で(単なる安売り店ではなく、地元で長く親しまれていた店で)、部活帰りの中高生とかでいつも賑わっていて、だから、このニュースで並んでいる人は、100円で安いから並んでいるのではなくて、あの「100円ラーメン」が懐かしくて並んでいるのだと思う。このニュアンスが伝わらないと、ただ「貧しい日本」(失われた30年とか、長く続いた日本のデフレみたいな)を表すだけのニュースみたいに見えてしまう。

(満福亭は七十年代のオイルショック以後に100円ラーメンを始めたようで、バブル期にも100円を維持しているので、この「100円」には高度成長期という背景とその思想があり、そこにはゼロ年代以降のデフレ指向とは別の―-ある意味、昭和的な-―価値観が働いていると思われる。)

(だから、「100円」であること自体に昭和ノスタルジーが宿っているともいえて、それを、今、再現することに意味があるのかどうかは、また別の話だが。)

⚫︎満福亭は、学生の頃に住んでいたアパートから徒歩五分くらいのところにあった。ぼくが学生の時は一階も二階も満福亭だったが、いつからか一階はケータイショップになった(一階の店と二階のの店とで違いが何かあったような気もするが、忘れた)。常に混んでいて、並ばずに入れることは稀だった。ラーメン、タンメンが100円で、モヤシののった味噌ラーメンが200円だったか…。よく憶えていないが餃子も200円くらいだったと思う。九十年代初頭くらいのこと。

(当時は円高の時代で、一ドルが90円くらいの感覚で、おかげで輸入CDが安く買えた。この30年で円の価値が三分の二以下になったのだなあ、と。つまり、当時の100円ラーメンは一ドルでは食べられなかったが、今では一ドルでお釣りがくる。額面は同じでもドルだてでは値下がりしている。)

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