●坂を下り、JRの線路を越え、国道20号線を渡ってもまだまっすぐ行くと南浅川に突き当たって、川沿いを下流方向へしばらく歩くと南浅川と浅川の合流地点で、そこから芝生が敷かれた河原がぐっと広くなり、犬がはしっていたり三味線の練習をする人などがいて(橋の下は音がよく反響する)、すぐ先に市役所がみえる。以前は市役所の地下にあったのだが、今はやや離れたところに独立した建物をもつ水道局で下水道代を支払う(今日までに支払わないと水道を止められるのでコンビニではなく直接払いにきた)。浅川と直交する市役所前の「市役所通り」を南の方へまっすぐに行くと、南に向かったつもりで南西に向かってしまい、来た方向に戻ってしまうので、細い路地を適当にみつくろいながらなんとなく東南方向へ進むように歩いてゆく。見上げると冬の透明な青い空に澄んだ白の雲が大げさな感じでうねるようにかかっていて、なんだこの雲、とつぶやきながら、携帯で写真を撮る。なるべく今まで通ったことのない道を選んで進むのだが、この辺りの地形や道路の構成は単調で、遠回りでもずっと川沿いを歩けばよかったと思う。歩くのに少し飽きてきた頃にふたたび国道20号線につきあたり、20号線を東方向に歩く。以下、ウィキペディアから引用。
《八王子市に入るとすぐに高倉町西交差点がある。ここで甲州街道は日野バイパスと合流し、ふたたび国道20号となる。高倉町西交差点からの八王子市内は、ほぼ現在の国道20号と旧甲州街道は一致する。現甲州街道は 浅川を大和田橋で渡るが、かつての大和田の渡しはより上流側であったという。浅川を渡ると八王子横山宿である。 大和田橋南詰交差点からは、「北大通り」を進み、市立五中交差点からは左手の一方通行路を進む。そして突き当たった丁字路を左折し、八王子駅入口東交差点へ抜ける。このルートが鍵の手に曲がる八王子横山宿の入口に相当する。このルートの途中には竹の鼻公園があり、ここには日本橋から11里を示す「竹の鼻一里塚」が残る。》
途中に織物会館という古いビルが目について、気になったのだが部外者が気軽に入れるような雰囲気ではなかったので、少し立ち止まってきょろきょろしただけですぐ歩き出す。しばらく行くと美術館が入っているビルがあり、おなじビルの一階にある東京電力の支点で電気料金を支払う。
時計をみると時刻は午後一時をすこしまわったところだった。そこから駅まで歩いて7、8分というところだろうか。駅前から放射状にひろがる商店街では露店の陶器市をやっていた。魚屋のおっちゃんの大声が目立っていた。この通りにあった古着屋がつぶれてから服を一着も買っていない。駅を通って線路の反対側へ出て、本屋の二階にある喫茶店の、駅前が見渡せる窓際の席で本を読み始め、気付いたら辺りはもう真っ暗で、五時間以上もそこにいたことになる。