⚫︎『コインロッカーベイビーズ』の有名なあとがきの一節に、《全力疾走を何百回と繰り返して四二・一九五キロを走破するマラソンランナーのように書こうと思った》というのがあるが(うろ覚え、手元にある講談社文庫版には「あとがき」が載ってない、初期の村上龍は「あとがき」も小説の一部なのに)、ぼくは『セザンヌの犬』に収録されている小説を、一日かけてようやく数十センチすすむカタツムリのように書いた。
(これは比喩で、カタツムリの移動速度は分速10センチ程度というから、時速6メートルで、実際には1日あればけっこうすすむ。)
⚫︎「やんでなねん」という語(音)が頭に浮かび、頭から離れない(「なんでやねん」の抑揚で)。