台風が来る

今日はこれから台風が来る。朝から断続的に降る強い雨がバシャバシャ地面をを叩きつける。雨は時おり、ふっ、と弱まり、空も白く明るくなったりもするけど、またすぐにカーテンを引くようにサーッと激しく降りつけ、風も強くなる。雨の濃度は、パラパラマンガみたいに、不安定にチカチカ移り変わる。一時的に雨が弱まると、どこから現れたのか小鳥がピーピーと鳴きながら乱れ飛び、いきなり蝉が狂ったように声をあげる。そしてまた雨と風が強くなるとすっと消える。降りつける雨粒が木々の緑の葉にあたって跳ね返る音と、吹きつける風で葉と葉がうねって擦れ合う音が混じって、じゅぅぅぅううぅぅわぁぁあああぁーっっっつっ、という炭酸が発泡するような音が沸き上がってくる。木の枝が激しく首を振っている。窓を開けて室内から外を見ている。水しぶきがはいってくる。

昼過ぎ頃から、風がふっとやみ、雨もかすかな小粒という状態がしばらく続いた。べたべたとして湿った生暖かい空気が、もわあ、と辺りに充満する。濡れそぼった木々の緑が無気味なくらいピタッと静止したままでヌッと立っている。嵐の前の静けさか。さあ、さあ、来るのか。とうとう来るのか、台風が。と思ったら、いつの間にか、過ぎ去って行った後だった。

夕方、ギラギラと照りつける西日と、それが大きな水たまりに反射した光とが、二重に射してきて、ひどく眩しいし、チクチクと暑い。