●午前中は市役所へ行き転入のための諸手続き。朝起きても疲れが抜けていなくて、重力が1.5倍くらいになった感じで、腰のあたりが特に重い。足が前に進まない。頭もどんよりしている。しかし市役所方面へ行くバスは少ないので、途中で降りて歩く。普段だったら散歩にちょうどいい感じだけど、体がぜんぜん前に進んでいないような気がしながら歩くことになった。
手続きの後、すぐ近くにある図書館に寄ってみた。かったるかったけど行ってみたいという気持ちが勝った。子供の頃と同じ建物、同じ感じで閑散としている。広場にSLが展示してあるのも同じ。階段の踊り場のステンドグラスも同じ。一階がロビーと子供室、二階が一般向の書棚、三階が学習室とホール。驚くほど同じ。このホールでは確か二週に一度くらいの割合で日曜日に子供向け映画の無料上映を、ぼくが子供の頃は、やっていた。『白蛇伝』や『チキチキバンバン』や『悪魔の発明』などをここで観た。書棚をなんとなく見てまわっていたら自分の本を発見して驚いた(八王子にはなかった)。予期せず目に留まったので不意をつかれた感じでビクッと反応してしまう。手続きしたばかりの仮発行の保険証で貸し出しカードをつくる。
帰りは、本数の少ないバスがちょうどタイミングよく来たので助かった。図書館で三冊も本を借りてしまってもいて、また歩くのはかなりきついと思っていたので。
●あまりに疲れているので帰ってから一時間くらい昼寝。かなりすっきりする。その後、とにかく最低限作業できるだけのスペースをつくって、ここのところ引っ越しのことばかりやっていて遅れ気味の様々な用事を、午後から夜まで必死でやる。この机(21日の日記を参照のこと)で作業するのはとてもいい感じ。新アトリエはいまのところ快適。
●引用、メモ。『岡潔 数学の詩人』(高瀬正仁)より。
《問題の設定といい、解決の構想といい、岡潔の数学研究のどの側面を見てもみな岡潔ひとりの心に現れた出来事である。同じ問題の解決をめざして何人もの人たちの間で早さを競うというのではないから、優先権を争うという事態は起こりえない。研究の流れの実際の経緯を見ると、岡潔が取り組んだ研究のうち、成功して公表された部分についてはフランスやドイツの数学者がいちはやく理解し、咀嚼して、数学の世界の共有財産になった。だが、実際には具体的な形に結実しなかった研究の方がはるかに大きな領域を占め、しかもそれらは岡潔の人生と運命をともにして消滅してしまい、決して共有されることはない。》