2023/03/13

●市役所の建物のなかにある税務署で確定申告の書類を提出してから、地元に何年か前に出来た大型ショッピングモールにはじめて行ってみた。駅から微妙に離れた位置にあり、自動車を持たない者としてはわざわざそこまでは出かけないという場所なのだが、市役所からは徒歩で十五分くらいなので、この機会に行ってみるかと思って、行った。

ショッピングモールというところに行くのがほぼはじめてで、面白かったのが、完全に屋内なのに、スケール感が屋内的ではないので、店がたくさん並んでいる屋外を歩くような感じだったこと。イメージで言うと、駅前にある複数のビルを繋いでいる空中に巡らされた立体的な歩道が、ビルとビルではなく、店と店とを直接繋いでいる感じ。そして、一定の距離ごとに広場のようなベンチのあるスペースがあって、そのスペースはまさに公園のように使われていて、ベンチに座って本を読んでいる人もいれば、子供たちが大声を上げながら走り回ったりもしている。一個一個の店舗も、うまいこと閉じ切らないように、露店のように半ば開かれた感じにしつらえてある。

小規模な公園と公園を繋ぐ回遊路に店が並んでいるという感じでもあって、別に買い物が目的である必要はなくて、特に目的もなく公園でくつろぐために出かけて、なんとなく人々が集まってきてはなやいだ感じを味わいつつ、しばらくぼんやして、帰りについでに何か買って帰ってくるみたいなことでもよくて、巧妙に仕組まれてあり、これでいいのだろうかと疑問に思うが、さすがにうまく出来ているとは思った。地方の深刻な問題は、実際に散歩をする「外」の空間が貧しくて、巧妙に仕掛けられた商業施設よりも魅力的なことがほとんどないということだろうか。

この大型ショッピングモールには、地元で最も売り場面積が広くて品揃えもわりとまともな本屋さんがあって、おお、リアル書店はすごく久しぶりだと思って少しドキドキしながら見て回ったが、残念ながら読みたいと思う本には出会えず、結局、フリクション(これがないとぼくは本が読めない)とクリアホルダーをまとめて買って帰ることになった。