2023/03/12

●『戦慄のリンク』をU-NEXTで。鶴田法男が中国に行って作ったホラー。ぼくはこれは駄目だった。中国で撮ることの制約として、「幽霊」は何かしらの形で合理的に説明(解明)されなければならなくて(唯物論の国だから)、ホラーとして始まってもミステリとして着地しないといけないということらしいのだが、だとしてもこの説明のつけ方はあまりにもいい加減過ぎないか、と思ってしまった。説明をつけるのなら、その説明部分をもっと真剣に考えてほしい、と。「犯人(黒幕)」も、映画のすごく最初のほうで「きっとこの人が黒幕だろう」と分かってしまうし。実は事件は解決していないかも、と匂わせるラストも、お約束としか感じられなかった。

この脚本ではどうやっても面白くなりようがないと思うのだが(ホラー部分にしても、呪いが感染する媒介が「ネット小説」である必然性―あるいは恐怖の生々しさ―があるとは思えないし、それはたんに、面白いとはとても思えないミステリ部分の都合でそうなっているようにしか思えなかった)、その中で鶴田法男はなんとかしようと頑張っているのかもしれないが、お話にリアリティがないので、どうしても、既視感のあるJホラー的表現の一覧表のように感じてしまう。Jホラー的な演出を期待されて中国に呼ばれて、その期待通りの仕事をプロとして技術的にきっちりとこなした、ということなのかもしれないが、ぼくはそれを面白がれなかった。