YouTubeに、音声読み上げソフトによる小説の自動朗読の音声がアップされているのをみつけた。おそらくあまり高度なソフトではなく、こまかい読み間違えがちょこちょこあったり、イントネーションや間のあけ方が変だったり、一行あきのところでも間をつくっていないので場面が転換しているのが分かりにくかったりするけど、俳優のする朗読のように感情や抑揚を入れて演じられたものより、一本調子で、テンポも速いところが、ぼくにはかえって聴きやすい(文として頭に入ってきやすい)ように感じられた。
(ぼくは「朗読」が苦手で、だいたい、感情が入り過ぎで鬱陶しいと感じ、すぐ飽きてしまってずっと聴いていられないのだけど、これだと不思議にずっと聴いていられる。)
何十年も前に読んだ(現時点からみると「古さ」や「懐かしさ」を感じざるを得ない)小説を、単調で妙な非人間的イントネーションの朗読で改めて聴くというのは、独自の味わいがあり、ちょっと面白い経験だ。
(おそらく、電子書籍を自動的にはじめから読んでいるだけなので、下のリンクでたとえば、[中上健次]岬、となっているけど、ここでは読まれている小説は「岬」ではなく、短篇集『岬』の最初に収録されている「黄金比の朝」という短編だし---だから芥川賞受賞作ではない---[大江健三郎]死者の奢り・飼育、となっているのも、新潮文庫の『死者の奢り・飼育』の最初に収録されている「死者の奢り」が朗読されている。また、権利上の問題からだと思われるが、朗読は途中までで、途切れている。)
≪AI朗読≫[村上龍限りなく透明に近いブルー群像新人文学賞芥川賞受賞作》
https://www.youtube.com/watch?v=XXKVsTvS0Mc
≪AI朗読≫[中上健次]岬《芥川賞受賞作》
https://www.youtube.com/watch?v=DhLEQIGUYHM
≪AI朗読≫[大江健三郎]死者の奢り・飼育 《芥川賞受賞作》
https://www.youtube.com/watch?v=b__3ljdyxZY
青空文庫から、古典の朗読もされているけど、古い日本語になると、読み間違いがかなりひどくなってくる。ここまでひどいと(脳内修正がリアルタイムで追いつかないので)、ちょっと使えないかなあ、と。ただ、妙に不自然なイントネーションと単調なリズムと読み間違いばかりの『春と修羅』をぼんやり聴いているのは、これはこれで面白いと言えないこともない。
≪AI朗読≫『春と修羅』 [宮沢賢治]《青空文庫
https://www.youtube.com/watch?v=h0Ph84nO1V0
≪AI朗読≫遠野物語柳田国男]《青空文庫
https://www.youtube.com/watch?v=xNtDWSWftfA
≪AI朗読≫歯車 [芥川龍之介]《青空文庫
https://www.youtube.com/watch?v=eAoj5DBWPpY&t=423s
≪AI朗読≫草枕夏目漱石]《青空文庫
https://www.youtube.com/watch?v=3Ki2XvyZaSs&index=
●下りのリンクは人による朗読。ぼくはこういうのはほんとに駄目で、すぐ飽きてしまうか、言葉を放棄してただ「声」と「抑揚」だけを聴いてしまう。小説の場合、もともとの文章そのものに抑揚や緩急が仕込まれているので、そこにさらに加えて読み手が抑揚を付け足すと、too muchになると感じる(BGMとかもいらないと思う)。
朗読「草枕(前篇)」夏目漱石
https://www.youtube.com/watch?v=6huNJBaPepQ&t=505s
●小説に限らず、たとえばニック・ポストロムの本とかも朗読させている。
≪AI朗読≫スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運[ニック・ボストロム]
https://www.youtube.com/watch?v=bOlUTqLc_Ug