●もう少し、『ゆめのほとり鳥』(九螺さらら)から、気になった夜や睡眠や夢にかんする歌。構造的というより抒情的なやつ。
《あくびした人から順に西方の浄土のような睡蓮になる》
《醤油入れの醤油は幽閉された夜一滴ずつ解放される朝》
《水のない水差し売り場の水差しにとって水とは概念である》
《南極ですかいいえコンビニですペンギンですかいえコピー機です》
《神無月のはじめの二分メビウスの輪になっている街の陸橋》
《ふさふさの群青色が流れてく空は一頭のさみしい馬》
《なにぬねので出来ている眠りの世界は生まれたてのわたしが眠っている》
《あたたかなオニオンスープと眠りとの相似について朝まで語る》