●昨日からつづく。「千のナイフ」を(曲としても、アルバムとしても)はじめて聴いたのは12歳か13歳だったはずだから、もう40年くらい繰り返し聴いていることになる。
他に、坂本龍一の曲で特に好きなのが「Happy End」で、この曲も(40年近い時間のなかで/いくつかのバージョンで)何回繰り返し聴いたか分からない。こういう、自我の芽生えと同時期にすり込まれたようなものは書き換えできない特別なものとなる。
(「Happy End」は、「Front Line」というシングルのB面の曲で、81年に出た。同じ年に出たYMOのアルバム「BGM」にも別バージョンが収録されているが、ぼくはまずシングルの方を聴いた。)
ただ、同じくらいの時期に、ツービートの漫才にものすごいショックと影響を受けたと思うのだけど、当時の漫才を、今、YouTubeで観てもまったく面白いと思えない。ただたんに酷いことを言っているだけにしか聞こえない。これの何がそんなに可笑しいかったのかわからなくなっている。
(おそらく、スピード感、時間あたりのネタの量の多さ、ストーリー性の解体と断片化、前の世代への否定や良識ある人のひんしゅくを買うようなことをわざと言うことによる解放感、などが、当時の他の「お笑いの人たち」と決定的に違っていて、自我に目覚めて生意気になりはじめた---厨二的な---自分にとって新鮮だった、ということだと思う。新しいと感じた理由を挙げることはできても、その時感じた「新しさの感覚」を自分のなかで再現できなくなっている。)
たんに、音楽の寿命は長く、お笑いの寿命は短い(タレントとしてのビートたけしの寿命は長い)、ということでもあるけど、それは同時に、自分のなかに、どうしようもなく変われないところと、懐かしむことすら出来ないくらいに(その当時の感覚を思い出せないくらいに)、決定的に遡行不能で不連続なところがあるということだろう。
(それと、坂本龍一の曲は「難しい」ので何度聴いても飽きない、ということはあると思う。)
「HAPPY END」RYUICHI SAKAMOTO
https://www.youtube.com/watch?v=iSiCZ8kbNnU
Happy End - RYUICHI SAKAMOTO オーケストラによる
https://www.youtube.com/watch?v=kvrvxxQS6Jw
Happyend ピアノによる
https://www.youtube.com/watch?v=0zpelFDnf_Q
Happy End - Yellow Magic Orchestra
https://www.youtube.com/watch?v=75yR0FXZRpw
YMO - Happy End (Live)
https://www.youtube.com/watch?v=0QX-_WQWiLg
ツービート(1979)