7/4(火)

昼過ぎから、すこし眠ろうとしたけど、暑くて寝つかれない。うとうとしたと思うと、嫌な夢で目が覚める。随分と沢山の夢をみた気がするけど、時計を見ると10分とか15分とかしか経っていない。それでも眠いのでまた努力して眠ろうとする。カーテンを閉じたままの部屋で、半眠半覚の状態でいても、外の気象が変化してきたのが分る。何故分るのか分らないのだけど、空気の感じが変わってきていた。そのうち遠くの方で、雷がゴロゴロいいはじめるのが聞こえる。半分眠りながらも、雷が近くなったり、遠ざかったりするのを感じていた。サーッという音とともに雨が落ちる気配がして、窓から涼しい風が入り込んできたかと思うと、しばらくしてその湿気が、一層の蒸し暑さの呼び水となってしまう。

起きることにして、薬缶を火にかけて、郵便受けをチェックしに外へ出ると、もう雨は上がっていた。顔を洗い、お茶を飲んでから、ヒゲは剃らずにそのまま、アトリエへ行くことにする。家を出る頃には、またポツポツと降りだしていて、電車に乗ってアトリエのある駅に降りた時には、不規則な方向から落ちてくる乱れた雨が舞っていた。大きな傘をさしても、ズボンは濡れてしまうような降り。途中で缶コーヒーを買って飲んだら、こぼして白いTシャツにコーヒー染みをつけてしまう。アトリエの隣、この前書いた、大学の同級生の女の子とは反対側の部屋には、老夫婦と犬が住んでいる。よく吠える犬。今にも飛びかかってきそうな勢いで吠えるのだけど、こちらから目をじっと見つめて近づいてゆくと、シュンと小さくなってしまうような犬。老夫婦は、懐メロのCDを買ったらしく、聞いたことはあるけどタイトルの分らない曲と、それにあわせて歌うじいさんの声が、開けっ放しの窓から聞こえてくる。次から次へと曲が変わり、次から次へとじいさんは歌う。どれも聞いたことがある。いわゆる演歌みたいなものはなくて、流行歌とでもいうものばかりなので助かる。演歌なんかガンガンかけられたら鬱陶しくて制作できない。ばあさんはいつも、CDなんかなくても、大声で歌ったり、犬に話しかけたりしているのだけど、今日は静かに聞いているみたいだ。制作に集中しているうちに、それらの音は耳に入らなくなり、気がつくと、いつの間にかテレビニュースの音にかわっていた。もう外はすっかり暗い。