西暦2000年になる瞬間、何をしていたかというと、寝てました。カウントダウンとか何とかいうよりも、眠れる時に眠っておくことのほうがずっと重要。
午前2時30分過ぎに起きる。とりあえずY2Kは、気になっていたので、テレビをつけてみる。大きな混乱は何もなかったらしい、ということで、ふーん、っていう感じ。
近くの外国人(どのへんの国の人かはよく分らない)の夫婦が、いきなり、「 ハッピー、ニュー、イヤー 」とか言って、手作りのケーキをくれる。面識はあっても付き合いは全くないのに。よほどめでたいことがあったのか、それとも国の習慣なのだろうか。せっかくだから、頂いておく。なかに、マーマレードみたいにオレンジの皮が入っていて、その歯触りと香り、ちょっとした苦みがとても良く、おいしかった。ご馳走様。
せっかく起きているのだから、初日の出は見る。でも、昨日の朝日や明日の朝日とどこが違うっていうのか。違うといえば、毎日違ってるし。太陽とか地球とかは、2000年だとか、元旦だとか、そんなこととは全く無関係に存在しているというのに。まあ、1年に一度くらいしか朝日を見ないって人もいるんだろうけど。
『「 お前は問題をとりちがえているのではないかな 」と彼は言った。「 戦士の自信はふつうの人間の自信とはちがう。ふつうの人間は、傍観者の目に確実だと見えるものをさがして、それを自信と呼ぶ。戦士は自分の目で落ち度のないものを見つけて、それを謙虚さと呼ぶ。(略)お前は虹を追っているのだ。戦士の謙虚さをこそ求めるべきなのに、お前はふつうの人間の自信を求めているのだ。自信は何かを確実に知ろうとする。謙虚さは、自分の行為と感情に落ち度がないことを求める。」』( C・カスタネダ「 未知の次元 」)
年末から年始にかけてで、ゆっくりと出来るのは今日一日だけ。といっても、明日から、2〜3日家を空けるので、そのためにいろいろやっとかなくちゃいけないこともあるのだが。
ビデオで、小津安二郎の「 小早川家の秋 」と、ハワード・ホークスの「 モンキー・ビジネス 」を観る。本当に正月にふさわしい、豪華な二本立て。
以前に観たときには気づかなかったのだけど、「 小早川家の秋 」の、原節子(未亡人)と司葉子(義理の妹)が会話するシーンで、ほんの一瞬、ふたりの年齢差(「 秋日和 」では母娘をやっているくらい離れている)が崩れ、不意に「 女の子同士の会話 」になってしまう瞬間があって、これにはかなり感動した。小津の繊細な演出が、冴えまくってる。