02/01/21

●朝目覚めたら、昨日よりさらにひどい体調。それでも出かける用事がある。耳の奥で小さな蠅が羽ばたいているような、小さなモーターがうなっているような、ブーン、ブーンという耳鳴りがする。歩いていると時々、テレビの画面にノイズがはしるように、空間がぐんにゃりと歪むような感じがする。一歩足を踏み出した時に膝にかかるはずの力が、かかるべきところにかからずにどこかへスッと流れて抜けてしまう。膝や肘の関節を動かすときにギシギシと軋みがはしり(関節がズルッとズレるような軋みだ)、それが体のあちこちを痺れとなって響きながら伝わって、上の方へ昇ってゆき、後頭部のあたりでガラスを引っ掻くようなギリギリいう震動になって消える。その痺れるような震動とともに、現実感がフッと一瞬だけ遠のく。苦しいとか辛いとかいうよりも、現実離れしたような浮遊感があって、妙に気持ち良かったりする。ダラッと垂れ下がる泥のようなかったるさと、ふわふわとした浮遊感とが、体の重心よりもやや高い位置で拮抗している。発熱による多幸感。鼻血を出したのなんて随分と久しぶりだ。早足で歩くと、脳天にドーンと痛みが炸裂するので、ゆっくりと歩きながら、自分の身体の反応を半ば面白がって味わっている。熱でほてった体へと、どんよりと重たい空から雨が落ちてくる。しだいに、寒気が冗談じゃないくらいに強くなってきて、出先で体温計を借りて測ってみたら38度5分もあって驚いた。風邪薬はこの2日間くらいずっと飲んでいるのだけどちっとも効かないので、解熱剤としてバファリンを飲んでみたら、これがウソみたいにたちまち効いて、みるみると楽になり、体温もあっという間にするする37度前後まで落ちた。頭の芯に硬くしこっているような鈍い痛みと、関節の軋みが全身に痺れのようにキシキシと響く感覚はまだ残っているのだけど。