●季節の変化は、あたたかくなってきたとか、梅が咲いたとか、桜のつぼみが膨らんでいるとか、そういう意識的に捉えられることでだけ感じているわけではない。花粉症なんていうのもそうだけど、身体は勝手に何かをキャッチして、それに対する反応を勝手にする。例えば、この時期はやたらと眠くなるのだけど、この眠気は、冬の厳しい寒さのなかでふと訪れる小春日和のあたたかさに、寒さで萎縮していた身体の緊張が緩んで、その緩みのなかでとろっとまどろんでゆくような感じとは少し違って、何か顔がほてるような上気するような眠気で、ほんの僅かながら不穏な気配が混じり込み、さらに、自然にふわっと目覚めるのではなく、寝覚めの切れが悪く、しつこく粘る。電車のなかでのうたた寝でも、軽く目を閉じただけで既に半ばくらい意識に夢が混じり込むのに、そこからすっと眠りに入り込めず、(実際に電車に乗っていつつ)電車に乗っている夢をみていたりして、目覚めても、まだ頭のなかに幾分か眠りが残っているような感じだ。