●久しぶりに手書きで手紙を書いた。最近、手で文字を書くのは、自分の名前と住所くらいのものになってしまっていて(妙な自意識かも知れないけど、ぼくは自分の書く字があまり好きではないので)、手紙を書きつつ、自分があまりに漢字を書けなくなっているのを知って愕然とする。(「愕然」なんて絶対手では書けない。これはもともと書けないのだけど。)書けるか書けないか自信がないけど、何となく手の勢いで書けてしまうということが全くなくなって、逆に、書けるはずだと思っていた字で、手が書き淀んだまま止まってしまう。出先の喫茶店で書いていたので、辞書も手元になく、書けない漢字を避けて文章をつくるのに苦労した。『ほうようかぞく』の「抱擁」が書けないのはまだしも、『ぐうわ』の「寓」も書けないので驚いた。「徴」という字がどうしての「微」みたいになってしまって(「微」とも微妙に違っているのだけど)、これ絶対違うよなあと思って、たまたま買って持っていたドゥルーズの「シネマ2」の目次から「徴」という字を探し出して書いたりした。(この本になら必ず「徴」という文字があるはずだ!、と。)苦労して、書けない漢字を避けて書いた文章を読み返してみると、それでもなお、漢字の間違いがいくつも見つかって、仕方ないのでもう一度書き直した。それでもまだ間違いがあるような気がする。