●今、ある小説家についての作家論を書いていて、そのための資料として、『「超」整理術』(野口悠紀雄)を、(古本屋で百円で売っていたので、買って)パラパラと読んでみた。(これだけで、「誰」について書いているのか、分かる人には分かってしまうと思うけど。)読んでみると、これがとても面白い。実用書として、つまり「整理術」の本として面白いというよりは、小説を読むように面白く読めるのだ。特に、第一章の、「紙と戦う「超」整理術」などは、そのまま独立した小説作品として文芸誌に載っていてもおかしくないくらいだ。後藤明生の小説のように面白い。というか、後藤明生よりもずっと面白いのではないだろうか。
《私の場合、使わなかったファイルは、一週間でおよそ二〇センチ右へ進む。しかし、その勢いでどんどん書類が増えてゆくかというと、そうではない。ひと月で約三〇センチ、そして一年で一・五メートル程度である。これは、同じものの繰り返し使用が多いことを示している。》
《日付とタイトルは、裏面の右肩に書く。縦に並んだ封筒をめくるようにして検索したときに、すぐに見えるようにする。必ず日付を入れる(一般に、書類には必ず日付をいれるものだ。)年も入れておかないと、後で分からなくなる。》
《このメモは、大学ノートに時間順に書いてゆくのがもっともよい。何の分類もせずに、ひたすら時間順に書いてゆく。これも、時間軸で簡単に検索できる。必要なことは、日付を絶対忘れずに記入しておくことだ。》