●『BEATLESS』(長谷敏司)、最後まで読んだ。正直、前半はちょっと退屈だったのだけど、後半になって前半の退屈さが効いてくる展開になった。長い小説を読むというのはこういうことでもあるのだな、と。
小説としては苦手な感じではあるけど(通して読むのはちょっときつかった)、このような主題がこのような形で書かれることの必然性は納得できた。「小説」としては苦手と書いたけど、コンセプトとその展開という点で、ここで簡単には感想を書けない(簡単には整理できない)くらいの様々な刺激を受けた。ぼくとしては、「これを半分くらいの長さで書いてくれたら助かるのだけど」という気持ちもあるのだが(この長さだと読み返すのがかなり大変…)、しかし、この長さがあるからこの結論に至った、ということかもしれない。ラノベ(「円環少女」)の方も読まなくてはいけないかなあ、と思った。でも「円環少女」は全13巻なのだった…。長い。
(通俗的な物語の枠を借りつつも、外枠をそのままに中味だけを入れ替えて別物にしてしまうというやり方はハヤカワ書房から出ている作品と変わらないと思うけど、長いということと、物語の枠組みが少年少女向けのものであるということが、ぼくにはちょっと厳しかった。でも面白かった。)
(読むのはきつかったけど、例えば主題的に共通点が多いと思われる『know』や『ヨハネスブルグの天使たち』を読んだときに感じた、主題の追及が足りていないのではないか、提示された主題と着地点がズレてしまっているのではないか、という不満は、この小説に関してはなかった。とはいえ、イメージの鮮やかさという点ではこの二作はとても面白いので、これらの作品を相補的に読むこともできると思った。)
(あるいは、ディック的な「アンドロイド」と長谷的な「インターフェイス」が、どの程度似ていて、何が決定的に違うのか、について考えると面白い気もする。)