●夢のなかで、ぼくはタカ&トシだった。タカでもトシでもなく、二人一組でぼくなのだった。そして、二人は兄弟だった。暖色と寒色の、色違いの同じスーツ(だが、下はハーフパンツ)を着て、首から色違いの手ぬぐいをぶら下げていた。こんな、一目で兄弟と分かる格好をしてるなんて、恥ずかしいよな、と二人で言い合った(それは親戚の法事の席でタバコを吸うために外に出た時だったのか、あるいは終電を逃して人気のない路上で二人しゃがみこんでいた時だったか)。それでも、色違いのお揃いを着るのが規則のようなのだった。その規則は、仕事上のキャラクター付けとは関係なく、むしろプライヴェートな規則みたいだ。二人は大抵一緒にいたが、仕事の都合でバラバラになることもあった。その時も、二人一組でぼくであることはかわらないのだが、仕事に行く方のぼくは、ぼくの意識から遠ざかってゆくようだった。家に一人でいる方のぼくは、自分の背中が自分では見えないというような感じで一人なのだ。
では、二人でいる時は、自分の顔も背面も、同時に自分から見えているという感じなのだろうか。これはとてもリアルな夢だったのだが、目が覚めるとその感じは急速に遠くなってしまい、このように言葉を書きはじめてしまうと、もはや夢の規則よりも言葉の規則の方が強く働き、それに従って書いているように思えてくる。