●八月はほとんどひきこもっていた。もともと、旅行に行けるようなお金はないのだが、月のはじめ頃に体調があまり良くなかったこともあって、散歩にゆくことさえあまりしなかった。そのかわり、まるで浪人生のように、毎日、何件も喫茶店をはしごしてずっと本を読んですごした。午前中は制作して、午後から、喫茶店の営業時間が終わる頃まで、毎日十時間くらいひたすら本を読んだ。ずっと同じ本を読んでいると行き詰ったり、頭がよどんできたりするので、二、三冊の本を持って出て、同時に少しずつ進めた。十二時前くらいに部屋に戻って、借りてきたDVDを一本くらい観てから寝た。立川まで画材を買いに行く、という以外は、ほとんど八王子から出なかった。
本を読むといっても、まるで「この人の閾」の真紀さんみたいに、本を広げて、見開きの二ページを三十分とか一時間とかかけて読むような、先に進むとか読み終わるとかいう気持ちがほとんどないような読み方で(そもそも何か「目的」があって読んでるわけじゃないし)、とにかく食らいついて、必死に噛み砕いて噛み砕いてゆく感じ。しかし不思議なことに、それでもふと気づくと結構進んでいたりするのだ。そんな感じだから、時間のわりには大してたくさんの本を読めたわけではないが、しかし、今まで何度か挑戦しても歯が立たなくて、まったくなかに入っていけなかった何冊かの本のなかに、なんとか切り込んで分け入ってゆく事は出来たと思う(挑戦したけどまた駄目だった、という本もあるけど)。そういう意味では、まあ、よい夏だったのではないかと思う。
●今日はひさしぶりに都心まで出かけた。前に考えた、近くのいろいろな電車の路線に乗りにゆくという計画は、結局実行されないままになってしまっている。もう少し涼しくなったら実行したい。