●お知らせ。明日、四月五日付けの東京新聞夕刊に、東京都美術館でやっている(七日までですが)エル・グレコ展のレビューが載る予定です。「趣味」という観点からすると、ぼくにとってグレコはちょっと受け入れ難い画家なのですが(特にあの、絵の具のヌルヌルした感じが気持ち悪い)、ただ、グレコからは時々セザンヌが見えることがあって、その意味で決して無視できない画家ではあります。好きとは言えないけど、絵画にとって重要な何かを確かに掴んでいるとは思える、ということで。
絵の具がヌルヌルしているというのは絵の具の質感というよりおそらくブラッシュストロークの精度の問題で、一つ一つのストロークが、決して空振りはしていないけどジャストミートもしてない、いや、いい当たりではあるけど芯を微妙に外しているという方が正確かもしれないのだけど、だからバットとボールが当たる感じがすかんと乾いてなくてくしゃっと湿っているみたいな感じがあって、その微妙なズレが重なっていて、どうも気持ち悪い。
あと、このヌルッとした気持ち悪さは油絵の具で描かれる絵に特有のもので(グレコに限らず、ぼくはこのヌルッとした油絵がどうしてもダメなのだけど)、油絵の具以前の絵にはないものだと思う。だから絵の具の質感とまったく無関係ということでもない。
●『第9地区』をDVDで観ようとしたのだけど、興味がつづかずに三十分くらいでやめてしまった。なんか白石晃士みたいだ、としか感じられなかった。
●最近、『宇宙のステルヴィア』をちびちび観ていて、十三話(半分)までいった。はじまりは正直、冴えない感じだと思っていたのだけど、話が進んでゆくにつれてじわじわ良くなってくる。決して、すっごく面白いというわけではないのだけど、隅々まで上品につくられていて、それが回を重ねるにしたがってじわじわ効いてくる。2003年につくられた作品で、技術的にデジタルへの移行期だったのか、いかにもデジタルという部分が浮いてしまってる感じはあるけど。