早稲田大学へ。講義の前に西川さんに連れられて「早稲田文学」の編集部に立ち寄る。講義は、予定していたものの三分の二くらいまでしか進めなかった。「相対性理論的な感情」「拡張現実」「量子論的なフィクション」という例を挙げて、テクノロジーとフィクションとの関係のなかで「今ここ(時間と空間)」の客観性が成立しなくなっている(あるいは、主観と客観との関係が常識とはまったく別ものになっている)というところまでは話せたけど、その先の「クラウド集合知人工知能との共存→技術的特異点」というところには踏み込めないままで時間が尽きた。
打ち上げの後、帰れなくなったのでゴールデン街で始発を待つことになって新宿に移動したら、花園神社の酉の市に行き当たった(前夜祭だという)。出店も飾り付けも、こんなに豪華な「祭り」は見たことがないというくらいに派手で、午前一時をまわっているのに人ですごくごった返していて、しかもその人手の多くは水商売っぽいケバくて派手な感じの人たちなので場のゴージャス感がさらに三割増しくらいになっていて、リアルに異界に迷い込んだようだった。夜の新宿なんて年に一度も行かないのに、こういうのに行き当たるのは運がいいと思った。