井上智洋さんのブログを発見した。でも(今のところ)、記事が一件しかない…。その、一件しかない記事から引用。「消費税増税論議に欠けていることー政府の借金こそがマネーを増大させるー」
http://inouetomohirox.hatenablog.com/
●まず要旨をざっと要約する。(1)通常のプラス金利経済では、市中銀行には法定準備額をこえるマネーは蓄えられていない。もし蓄えられても、すぐ貸し出しにまわされる。この状態で政府が国債を大量に発行すると、企業にまわる分のマネーが減り、貸し出しが抑制されてしまう。しかし、ゼロ金利経済では、市中銀行に法定準備額をこえる蓄え(超過準備)がある。だが、相応の資金需要がないので、貸し出しにはまわされない。(2)企業が市中銀行から借り入れを行えば、信用創造がなされマネーストック(市中に出回るお金の量)が増大する。デフレは緩和される。しかしすでにゼロ金利であるため、政府は資金需要を増大させる政策が打てない。信用創造は行われず、マネーストックは増大しない。(3)ならば、政府は国債を発行して市中銀行に購入させ、つまり借金を積極的に行い、信用創造によってマネーストックを増大させるべきである、と。増税して国債の発行を減らすという「財政再建」方向では、日銀が≪大胆な金融緩和≫を行ったとしてもマネーストックは増加せず、デフレ不況から脱却できない。金利がプラスになり、超過準備がなくなるまでは財政再建を目指すべきではない、と。
≪政府の借金がこれ以上増大したら危険ではないかと思われるかもしれない。だが、市中銀行保有する国債中央銀行が買い入れればなんら問題は生じない。総じて言うと、市中銀行を経由しつつ政府が中央銀行から借金をしていることになる。これは言わば、右手が左手に借金をしているようなものであり、互いの債券と債務を相殺してしまえば、チャラになる。
マクロ経済学では、政府と中央銀行を合わせて「統合政府」と呼ぶ。我々が心配の対象とすべきなのは政府の債務ではなく、統合政府の(純)債務である。政府がいくら中央銀行から借金をしても、統合政府の債務は増大しない。
政府支出を中央銀行からの借金で賄うことは、「財政ファイナンス」などと呼ばれ批判の対象になることが多い。しかしながら、財政ファイナンスは警戒が必要な特殊な事態ではない。≫
≪政府の財源には、そもそも「税金」と「貨幣発行益」の2つがある。財政ファイナンスの実施は、貨幣発行益の活用を意味する。貨幣発行益は、人類が手にできるほとんど唯一の打出の小槌である。
特にデフレ下では、我々はこの小槌を副作用なしに振ることができる。財政ファイナンスを実施しない政府と中央銀行は、国民のウェルフェアを高める責務を怠っていることになる。≫