●お知らせ。けいそうビブリオフィルで連載している「虚構世界はなぜ必要か? SFアニメ「超」考察」の第五回目、『冥界としてのインターネット 「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」と「serial experiments lain」(2)』を公開しています。
http://keisobiblio.com/2016/07/13/furuya05/
前回からのつづきで、「攻殻」と「レイン」について考えます。情報の物理化(偽の記憶でも生じてしまえば恣意的に消去できないし無視できない)という「攻殻」の世界と、物理の情報化(実際に生じた出来事でも記憶を書き換えてしまえば無かったことになる)ともいえる「レイン」の世界を対比して、前者を、事前/事後の成り立つ世界、後者を、事前/事後の成り立たない世界として考えています。
(世界のなかで、それ以前にはなかった「新しい出来事」が生じると、世界にある不連続性が生じます。しかし、「新しい出来事」が起きた後にも事後から事前へと因果的遡行が可能な場合、そこに不連続かつ連続である事前/事後という時間が生じます。人形使いと融合してまったく新たな存在となった草薙も、融合する以前の草薙の記憶は保っています。しかし、「新しい出来事」によって過去から未来に渡る世界の全てが書き換えられてしまった場合、事後から事前への遡行は不可能になります。それが「レイン」のラストで生じることです。)
事前/事後が成立しない世界においては、因果関係を辿ることによってでは世界の連続性の保証ができないということになります(因果関係から零れ落ちた---あらゆる因果関係から切り離された---別の世界があり得る)。そして、後者の「レイン」の世界が、この後の「エンドレスエイト」や「シュタインズゲート」「輪るピングドラム」などの作品つながっていくと分析しています。
さらに、「レイン」を、オカルト的な想像力の産物をホラー的な世界観に基づいて使用している作品だと考え、虚構の形としてのオカルトとホラーの根本的な違いについて書いています。
これらの分析を通じて、「ゴースト」というものについて考えています。