●お知らせ。11日に、新宿K's cinemaでレイトショー公開中の映画『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』の上映後のトークに出ます。監督の黒川幸則さん、脚本の山形育弘さんと話す予定です。
この上映は、初日から楽しそうなイベントがつづいているみたいですが、映画の雰囲気にそぐわない、理屈っぽくて、野暮なことになってしまうかも、というような話(生命記号論精神分析、分析美学…)をするんじゃないかと思います。なぜ、夢や遊戯(つまりフィクション)が現実以上に重要なのかという話、とも言えます。が、そう言ってみたかっただけかもしれないので、どうなるか分かりません。
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●急な豪雨にやられて全身びしょ濡れになったのは、この夏では二度目だ。
●昨日に続き、『少年と川』(アンリ・ボスコ)より引用。
《午後は暑かった。ぼくらはねむくなった。小さな昆虫の羽音や、ふいにコイがはねる音のほかには、この静けさの上に訪れるものは何ひとつなかった。》
《ぼくらはほとんど口をきかなかった。ガッソが口をひらくのは、ぼくにこんなふうにささやくときだけだった---
「バスカレ、じっとして、けものがいるよ」
ぼくらはじっとして身動きしなかった。
しげみが動いた。たいていは、そんなかすかな動きのほかには、動物のいることを示すしるしは何もなかった。けものの姿は見えないままだった。》
《ぼくらは小きざみに棹を動かして、ひろびろとした水面へまた出ていった。そこで夜をすごすために。
そして、深さ三メートルのところに小さな錨をおろして舟を止めた。そこにいれば安心だった。岸の危険をぼくらはいつも用心していたからだ。
そうして、ぼくらは船首で、ビスケット二つと干しイチジク三つを食べながら、夜の闇がおりてくるのを眺めるのだった。
すっかり夜になって、星々がきらめきだすと、ガッソはずっとうちとけてぼくにすこしばかり話をしてくれた。暗さが二人の気持ちを近づけた。
「たしかにカワウソがいるよ、すぐ近くに」とガッソがぼくに言った。
「どこに?」
「ハンノキのところ。水を飲みに来るんだ。毎晩聞こえる。」
「おそくなってから?」
「ああ、とってもおそくなってから」
「きみ、目をさましているの?」
「あいつのせいで目がさめるのさ。水を飲むとき、バシャッて水をたたくんだよ。大したやつさ」
「見たいなあ」と、ぼくはガッソに言った。
「どうやって見るんだい? 月も出やしない……」》