●以下の引用は『少年と川』(アンリ・ボスコ)より。
《ただ、そういうことはおかまいなしに、この日光とそよ風に満ちた午前、軽い四枚の船板に乗って水面をただよっていると、いきいきした幸福感、ほんとうの幸福感がぼくをいっぱいにした…… そのしあわせを、肌に感じ、身体(からだ)で味わい、血の中に感じた。そして魂にまでおよんだ。魂は何かがわかっていたわけではない。あの年ごろは無知なものだ。でもぼくは、生きるよろこびが自分の肉体より大きなものであることを感じて、自分に向かってこう言ったのだった---パスカレ、おまえの中でよろこびにふるえているのは天使なのだよ。たいせつにもてなしておやり》