●『響け!ユーフォニアム2』、第三話。なんかもう、すご過ぎて、すごいとしか言えない。アニメとしてのクオリティも、話の深さも。
一つのカットが短くて、カットが沢山あって、その短いカットの一つ一つに多くの事柄が凝集されていて、しかも、カットとカットの間というか、描かれることに対して、あえて描かれないことの重要さが効いてくる感じとか、早いテンポでポンポンと進みながらも余韻を残す感じとか…。
(カットの切り替えが早くて、いろんな場所で出来事が次々と起っているのだけど、全体としての状況は停滞している、というこの感じがぼくはとても好きだ。)
この、凝集されている感。おそらく、原作がもともと優れていて、それを脚本で凝集し、絵コンテで凝集し、一つ一つのカットを描く作画で凝集し、美術やエフェクトで凝集し、声優の演技で凝集し、音響や音楽で凝集し、そういう一つ一つのパートの仕事がすごくて、そうして、ぎゅっとした、濃くてぎっしり詰まったものが出てくる。こういうのは個人の力では無理だし、金にものを言わせて一流のスタッフをかきあつめれば実現するということでもないと思う。こういうものが出てくるための集団が成立しているということが、まずすごいことなのだろう。京アニだってすべての作品がすばらしいわけではないので、こういうのは、その都度、その作品ごとに、上手くいったり、いかなかったりするのだろうなあ、と。
●キャラが一人一人深い。実在する人間はこんなには深くないんじゃないかというくらい深い。で、この深さを実現しているのは配置の妙なのだと思う。例えば、この複雑な関係のなかでこそ、おそらく単独でとり出すと「この人ちょっと頭悪いんじゃないの」というくらいの高坂のまっすぐさが効いてくる、とか。一瞬だけ映って、「すげえな」と一言言うだけなのになぜか存在感のある塚本、とかも、全体の配置のなかで効いている。鎧塚にダメ出しする橋本先生とかも、指導者三人で、あの鎧塚さんにダメ出しするにはお前のキャラが必要だとか、そういう協議が裏であったのだろうと思わせる(橋本先生がダメ出ししている時、滝先生と新山先生が目を合わせるカットが一瞬だけ入る)。
(あと、橋本先生の「あ、しまった」は絶対わざとだろう)。
今回、黄前は三人に対して秘密をもってしまった。鎧塚についての件で傘木と中川に対して、滝先生についての件で高坂に対して。この「秘密」に対してどういう態度をとるのか。それでなくても、二期にはいって黄前が多くのことを背負わされる(様々な判断を強いられる)感じの展開になっている。抑制的な猫被りキャラ---しかし、思ったことが口から漏れてしまう---である黄前に大きく負荷がかかる一方、強気キャラの高坂があまりにあっけらかんとまっすぐであるという対比。田中先輩の底知れ無さがますます深まる。
(黄前役の黒沢ともよの演技が絶妙。)
二期に入って、「コンクール」に対する様々な立ち位置が明かされてきて、一期のように「上手くなりたい」というストレートな感情で様々な問題を突っ切って行く展開にはなりようがなくて、ある種の停滞とか停留の物語になっているのだけど、一方でコンクールでの勝ち上がりという「進んで行く時間」も否応なく迫ってくるというところで、かなり複雑な展開が予想される。
(吉川と中川の関係がすばらしくて泣ける。)
●いまさらだけど、顔のこまかい表情の変化と、特に、瞬きを含めた眼の表現がすごいな、と思う。瞬きでカットのリズムをつくっていたりする。