●面白いのでメモ。幽体離脱経験者は、自己身体にかかわる心的回転課題の応答パフォーマンスが高い。(kenrikodaka-memo.)
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下の引用で「OBE」はおそらく「outside body experience」、幽体離脱。全被験者をOBE経験者(人生で一度でも体験したことがある)と, それ以外の統制グループとに分けた場合、OBE経験者は自己身体に関わる心的回転課題で高いパフォーマンスを発揮する、と(OBEグループは,全員が, 頭上からの自分を見下ろすという強力に視覚的な経験をしている)。
《OBEのようなegocentricなperspectiveの移動と関連する幻想状態が, exocentricなperspective-takingのプロセスを反映しているとするかどうかについては, 未だに議論の途上にある.》
《被験者は, ABEのほか, 身体化されたABE(unreality of self:自己に対する非現実感), derealization(unreality of surroundings:周囲に対する非現実感)の指標を提供する, CDS(Cambridge Depersonalization Scale)について回答した.》
《OBEグループと統制グループの間で, ABE, emotional numbing, anomaliesのレベルで十分な違いはなかった. 一方で, OBEグループは, 統制グループと比較して, CDSのサブスケールの一つであるderealization(”alienation from surroundings”)において大きなスコアが得られた. 同様に, OBEグループは, perspective-taking課題において, より優れた成績を記録した.》
《まとめると, これらの結果は, これまで統一的に扱われてきた解離(dissociation)という概念を, 身体化された解離的経験(embodied dissociative experience)と 脱身体化された解離的経験(disembodied dissociative experience)を 区別することを支持するとともに, 後者の意味での解離的経験のみがexocentricなperspective-takingの機制と 関連していることを示している.》
《behavioral studiesは, 自身の身体の心的回転(mental transformation)に関わる脳内処理は, OBEのような普段と異なるperspectiveの計算にかかるものと同一であるとされている.》
《これらの研究は, own-body-transformation(OBT)課題を用いて, perspective-takingの特性を探求しており, 自身の身体と視点の心的回転に際して, 側頭頭頂接合部分が関与していることが示唆されている.》
《socialな状況においては, 空間的な目標が意識され, 視点が意図的に選ばれる一方で, 自己(ego)が, exocentricなperspectiveへと移動する際の実際の機制は, 強力に身体的な経験(embodied)であり,》
《さらに意図的に選択できるというよりも強制的な過程であること,》
《上下の分類がABOVE/BELOW, 左右の分類でROT+/ROT-》
《これら8つの画像のうちのいずれかが提示され, なるべく早くどちらの手にグローブを嵌めているかを答えているかを答えさせる(Reaction Timeを計測).》
《OBEグループの77%は, AFS(Alienation from surroundings:非現実感)高得点グループに属する》
《derealization(現実感喪失)を基礎づけている特定の認知神経的な偏りが, 自己や身体の内的表現を不安定にしたり損なうようなかたちで, 自己と周囲環境とのdisconnectionを助長させるのかもしれない. 少なくても, 入ってくるセンサー情報は, derealizationが増大した状況では曖昧となってしまう, ということがあるのかもしれない. この結果, 安定した, 自己に関するegocentricな表象が崩壊し, もはや一貫した身体的な意識経験を支えることができなくなる. こうした状況では, DPD-DRの患者が報告するような解離性の異常経験, あるいは臨床外の対応するもの(自己嫌悪, 無感動, 単調な, 夢のような)しかしながら, 別の状況では, これらの条件はOBEへの触媒として作用するだろう.》
《Below viewpointにおいて, 回転無しのHOBTの成績が, 回転有りと比較して向上した点は当初予想していたものと異なるものであった. Below/-rot条件では, 回転の実行順序が他と異なっていたのかもしれない. 実際, この条件の人体像は, ガラスの床に横たわる人を見上げるとか, 頭上を飛ぶスーパーマンを見上げる, といった状況に近いものであり, 日常生活で遭遇することは稀である. 逆に, Below/+rot条件は, 人がベットで横たわっている状況であり, 見慣れたvisualである. よって, Below perspectiveのときに限って, まずBelow/+rotに適合するように自分の身体イメージを回転させ, 必要に応じて(Below/-rot条件では)付加的な回転を行う, という戦略が存在していたのではないか. 「平面回転→身体回転」の第一のスキームに加えて, 二つの回転スキームが存在したこと, これはBelow viewpointにおいては明確なanchorポイントが存在しないことに起因しているはずだ.》
《今回のタスクが, 主にobject-rotationによるものなのか, exocentricなperspective-takingによるものなのかについては, 今後の実験で明らかにされていくべきである.》
《(…)HOBT(HUMAN OWN-BODY-TRANSFORMATION)の異なる条件間では, オブジェクトを回転させるのか, 自分を回転させるのかのついて, 異なる戦略がとられている可能性がある. Below/-rot条件では, おそらくは, 最初の段階で, 見慣れた回転位置にアバターを回転させている, これは心的なobject-rotationの例である. それ以降のステップは, 他の3つの条件と同じく, 心的なself-rotationを駆動させている. 以上は, 推測に過ぎないのではあるが, 姿勢の操作を導入することで, 今後の研究で解決されるであろう.》
《Kesslerの研究チームは, 最近になって, OBEと類似した心的なself-rotationを予期できる?身体の姿勢は, transformationを促進し, incongruentなpostureでは, そのプロセスが遅延することを示している.》
《重要なことは, 身体の姿勢は, 心的なobject-rotationに影響しないという点である》。