●「虚構世界はなぜ必要か?」の改稿は、半分くらいまでいった。パソコンかポメラの前にずっといて、背中と腰が痛いしバキバキだが、改稿のために読み返す時、自分の書いたものを面白がりながら読み返せているので、それは楽しい。
後半の方が議論がちょっとややこしくなるし、最後に「まとめ」的な文章も必要だから、まだ作業として半分終わったとは言えない。来週中くらいで一区切りつけて、編集者に渡せるようにしたい。
●このテキストは、SFアニメについ書いたものだけど、現実主義と科学技術とフィクションとの関係について書いたものだ。途中に唐突に「中二病」の主題が出てくるのも、それが現実主義とフィクションとの関係を、生々しく、かつ、とても(豊かに、ではなく)貧しい形で提示しているから。以下、「はしがき」の一部から(まだ直すかもしれない)。
《フィクションについて考えることは、夢をみることに、あるいは夢について考えることに似ています。そして、現実主義者は、そのようなことには意味がないし下らない、あるいは、無責任で害悪でさえあると言うでしょう。それに対しわたしたちは、そのような現実主義の態度こそがわたしたちの現実を堅く貧しくしているのだと反論することはできるのでしょうか。》
●「虚構世界はなぜ必要か?」は、アニメ好きの大学生に読んでもらえるような分かりやすさを目指して書かれている。本当のところ、議論はそんな単純じゃないし、本当に分かりやすいかどうかはよく分からないのだが、常識的な言葉と常識的な論理の展開を基盤にしていて、哲学的、批評的な参照や言葉遣いなどは最小限にしている。言及の対象もほぼアニメに限定しているし、そういう意味で抑制的だ。そしてこれは、「考察」であって「批評」ではない。なので、次の次の本は、いろんな意味でもう少し、胡散臭ささととんがった感じのあるものにしたい。
幸い、次の次の本を出すことを考えてもいいといってくれているところがあるので、それを励みにしつつ、今やるべきことをやりたい。