2019-07-31

●『若おかみは小学生!(劇場版)』をU-NEXTで観た。型どおりというか、オーソドックスなことを、非常に丁寧に、とても高いクオリティで実現してみせる、というようなアニメなのかと、途中までは思って観ていた。しかし、最後にぐっと攻めてきたので驚いた(いわゆる「加害者」を登場させるところ)。これがあるのとないのとでは、全然違う。

(マイルド化した「千と千尋…」のようにも見えるが、両親は死んでしまっていて、決して戻らないという点が決定的に違う。)

途中のトラウマ描写もかなり生々しかったし、事故の場面もえげつない。幽霊や子鬼が見えるというだけでなく、亡くなった父と母をあたかも生きているかのように描写するやり方も、見方によっては主人公の精神状態の---ギリギリ持ちこたえている---ヤバさをリアルに表現しているようにもとれる。全体としては、あくまでふんわりした微温的な安定感を保ちつつも、それを壊さないギリギリのところで、可能な限り攻め込んでいる作品だと思った。

ものすごい傑作だとは思わないが、みかけほど「ほんわか」している作品ではないし、安心して「泣ける」ような作品でもない、切実な重さを含んだ作品だと思った。