2019-09-26

●本を読んで、なるほどと納得させられたり、おもしろいと思ったりしても、時間が経つとその多くを忘れてしまう。強い説得力があるように感じられた論の展開があったとして、後からそれを再現しようとしてもぼんやりとした流れしか辿れなかったり、そもそも、おもしろいと思ったことそのものを忘れてしまっていたりする。

この日記で本やテキストを引用するのはそのための備忘録といえる。それには二種類の意味があって、おもしろいと思ったことをピックアップして置いておくことと、本を全部(あるいは、関心のある部分を通して)読み返さなくても、引用しておいたところだけをざっと読めば話の流れをだいたいは思い出せるようにしておくこと。

前者の場合は、自分がおもしろいと反応したところを書き写すだけだが、後者の場合、どの部分を引用して、どのように並べれば、できるだけ少ない引用量で、論の展開を要約できる(思い出せる)のかを考える必要がある。このとき、テキストをだいたい三回読むという感じになる。

まず、最初にふつうに読む(この段階で、書き込みや傍線がたくさんつく)。つぎに、どの部分を取り出せば要約になり得るのかを考えながら、読んだところを振り返る。そして、選んだところを実際に書き写す(打ち移す、と言うべきか)

書き写すという行為は体に刻むという感じもあって、これだけやると、それなりに頭に残る。それに、引用部分を書き写している時に、自分が最初に読んだ時に誤読していたと気づくことや、読み落としていた部分があったと気づくこともけっこうある。

(読みながら、本に傍線を引いたり、書き込みをしたりするというのも、ただ「読む」だけでなく、読むという行為に書く---描く---という別の系列の行為を織り込んでいくという意味もある。体を動かす行為を織り込まないと、読むこという行為に集中できずに、すぐに飽きてしまうということもある。)

それでも、時間が経つとやはり多くの部分は忘れてしまうのだけど。