2022/01/19

●『時空犯』(潮谷験)を読んだ。これって「涼宮ハルヒ」だよねえ、と思いながら。同じ一日が繰り返されるなかで事件が起こるという事前情報から、おそらく「エンドレスエイト」や「シュタインズゲート」の世界でミステリを成立させようとする試みなのだろうと予想していたが、思った以上にベタに「涼宮ハルヒ」だった(繰り返されるのは三回と少なめだけど)。最後まで読むと、テッド・チャン要素も少しあるかとも感じだ。発想としては、テッド・チャンの方が先で、「あなたの人生の物語」を「エンドレスエイト」と「涼宮ハルヒの消失」的にしてミステリに変換してみたらどうなる?、みたいなことだったのかもしれない。

涼宮ハルヒ」だと思って読むと、この物語では驚くべきことはほとんど起こらない(「相貌失認」を絡めたところは独創だろうし、とてもおもしろいと思った)。ミステリとしては超展開かもしれないが、SF的な要素の部分はわりとありふれているし、涼宮ハルヒなのだとしたら当然そういう展開になるよなあ、という感じではある。最後まで読むと、ヒロインがちゃんとハルヒ的存在である(かもしれない)ことも書かれている(北神博士が長門ユキ?)。驚きはないが、にやにやしながら(ハルヒアダプテーションであるかのように)、楽しんで読めた。

(これだけ派手な話なのに、「犯人」を特定するロジックが「鉄道ミステリ」というのもおもしろい。)

(超知性体=全体、研究者=個、という対比はちょっと単純過ぎるとは思う。)

(追記。改めて読み返すと、この日記の書き方はよくないと反省した。強く「ハルヒ」を感じたのは確かだが、あまりに乱暴に「ハルヒ」だと断定して、それ以外の要素を軽く扱い過ぎている。駄目な感想の見本のようなものを書いてしまった。)