2023/10/26

⚫︎近所に「K」のような形で道が交差する四叉路があって、その尖った「<」の部分の先端が、余りのようにほんの少しだけ空き地になって、土が露呈していて、小さな木が二本生えている。住宅街でおおかた舗装もされている中で、そこだけ唐突なように土があって木が生えている。記憶では、小学生くらいの頃から(その頃はその周りも土ばかりだったが)、その土地はそんな「余り」のような感じであったが、そこに木があった感じはない(雑草が荒々しく生い茂っていたイメージがある)。今あるその木は柿の木で、今の時期、木の小ささと不釣り合いなくらいにびっしりと柿の実がなっている。その土地は、所有者が誰かもわからず「余り」のようにあり、しかし、誰かが柿の木を植えたのだろうから誰かのものではあるはずだが、しかし誰のものでもないように放置されているから(少なくとも隣接する家の人の土地ではないようだ)、見事にほどにびっしりなっている柿はそのままなっている。誰の土地かもわからないから勝手に柿の実をとるのは憚られるが、しかしこのまま放置して腐らせるのは勿体無いなあと前を通るたび思う。

(しかし、びっしりと実っているのにカラスも突っつかないのだから渋柿なのかもしれない。)

柿といえば実家の庭にも柿の木があって、子供の頃の印象と比べると高さが1.5倍くらいに大きくなっているのだが、この柿は、子供の頃の記憶では渋柿で、口に入れると口の中じゅうがビリビリ痺れるくらいの強い渋みが広がったものだが(だから、干し柿にして食べたのだが)、今、この柿はそのままちゃんと食べられる。四叉路の柿の木のようにびっしりと実をつけることはなく、ぽつりぽつりとなるいう感じだが。店で買ってくる、充分に熟れた柿のような、ねっとりとした強い甘みはないが、普通に食べられるくらいは甘い。たまに、甘みの奥に軽い渋みの予兆のようなものを感じることはあるが、それほど気にならないで食べられる。