2023/10/27

⚫︎紙の本はとても優れた記録・読み取り媒体だと思うが、大きな欠点が二つあって、(1)場所をとる、(2)検索効率が低い(必要な時に必要な本が見つからない)。きちんと整理して本を置ける広い書庫のようなスペースが作れればいいのだが、そんなことはとても無理なので、本棚は常に、前後で二層に、あるいは三層になっていて、後ろ側に追いやられた本は、目に見えないというだけでなく、なんとなく意識からも遠くなる。

なので、時々、この前後の層の入れ替えをする必要があり、この物理的な「入れ替え」作業が、頭の中の、というか、自分の現在の関心のありようの、見直し的な入れ替えにもなる。

所有している本の量はできるだけ少なくしたいし、人生の時間も無限にあるわけではなく、一冊買ったら一冊捨てる、を実践したいと思っても、なかなかそうできないのは、もうこういうことに対する関心はほぼなくなったかなあと思って本棚の層の奥深くに追いやられた本を、かなり時間がたってから、おお、そういえばこれがあったのか、と再発見(再発掘)するということがままあるからだ。このような、物理的な再発掘や層の組み替えという「外的空間を再構成する行為」が、埋もれていた記憶や関心を掘り出したり、頭の中を整理したりすることと直結しているということが、本棚を引っ掻きまわすたびにありありと実感されるから、なかなか本を処分できない。

(とはいえ、物理的限界があるので、一定量を超えたら処分せざるを得ないのだが、そのような強制的排出を強いられることも、どう考えても読みきれない量のデータをいくらでも保存することができてしまうデジタルデータに対する、紙の本の良さなのかもしれない。)

この、本棚の前後の層の入れ替えは、それをやろうと思ってはじめるのではなく、必要な本を探していて、なかなか見つからず、本棚を引っ掻き回しているうちに、目的が「本の検索」からズレていってしまい、なし崩し的に始まってしまう。