腕時計の日付けが狂っていて、3月1日になっている。
目覚ましテレビの星占いカウントダウンで、双子座7位。『不注意によるミスをしそう』
大通りに沿って植えてある太いいちょうのごつごつとした幹の表面に、こびり付くように生えている濃い緑の苔が、朝の光で、浮かびあかったようにくっきりと見える。
駅のホームに置いてある紙コップのコーヒーの自動販売機。いつも飲んでいたエスプレッソがなくなって、炭焼きコーヒーに代わってしまっている。仕方ないのでそれを飲む。
電車で隣に座ったおやじの口臭があまりにキツくて、頭がクラクラする。頭痛が誘発される。
正面に座っている、目つきからしてアヤしい挙動不審の高校生が、立ったり座ったりを落ち着きなく繰り返して、しきりに窓の日よけを気にしていて、それを上げたり下げたりしている。(動作が乱暴)
ある人から、美川憲一みたいな髪型だといわれる。ははははは、と、力なく笑う。そういえば以前、違う人から慎太郎カットとか言われたこともある。しかし、慎太郎カットでどんなのだ。今の、石原慎太郎の頭とは違うだろうけど、多分。
昨日とはうって変わって、風が冷たくて寒い。しかし、寒いといっても、一番キツかった頃に比べると、随分と寒さが緩くなった感じ。とはいうものの寒い、寒い。寒いうえに、花粉飛びまくりで、鬱陶しい。
潰れて歪んだ、錆びた一斗缶が、枯れた芝生の上に、絶妙の間隔で置いてあった。
うーん、そうそうそうそうそうそうそう、と相槌を打つおばさんと擦れ違った。
ニュースで、完全失業率4,7%、有効求人倍率0,52倍、とのこと。うーん。
夕方からは、煩雑な事務的な打ち合わせ+作業。意味の無い、というか、面白くもない数字の組み合わせパズルみたいな感じ。こんなことやってても全然アタマはクリアーにならない。なんとか時間通りに終わる。外に出ると夕焼け。石焼き芋売りの声。オレンジの雲。
ロンドン・ブーツの『スキヤキ』。なぜかいつも観てしまう。
深夜、NHkのBSで、野田秀樹・作、蜷川幸雄・演出の『パンドラの鐘』をやっていた。いつものハッタリだけの蜷川演出、野田の戯曲は、彼が劇団時代にやっていたことを薄く、分りやすくしただけ、という感じ(とは言っても、天皇の戦争責任への言及、みたいな政治的な問題が、比喩的にではあるけど、かなりあからさまに語られていたりするところは昔と違うかも)で、どうということはなかったのだけど、唯一、なんとか夫人という役で出ていた、森村泰昌が素晴らしかった。ホントにびっくりすくくらい良い。
ぼくは彼の美術作品はちっとも面白いと思わないどころか、嫌悪感しか感じていなかったのだけど、以前、ぼくの通っていた大学に講演に来たのをみて、少し考えが変わった。
彼は美術家というより俳優(女優?)というかパフォーマーなのだ。講演の内容は全く下らないものでしかなかったけど、彼の小柄で華奢な柔らかく動く身体、関西弁のイントネーションと不思議な声、に魅了されてしまったりした。
とはいえ、俳優としてここまでやれる人だとまでは、思わなかった。森村泰昌がこんな端役てはなく、主役のヒメ女をやっていたら、この作品はもっと面白くなったかも。森村氏の今後の俳優としての活躍に期待したい。(って、これ、皮肉じゃないですよ。)