蒸し暑い。身体の表面がべとつく。強いビル風。人々の着ている服の生地が、ここ2、3日で確実に、軽く、薄く、なってきた。
寝不足の午前中、出かけるが、目的地についてから、時間を間違っていることに気づき、そのまま引き返し、午後、再び出かける。その場で、3時間くらい時間を潰してもよかったのだけど、寝不足と暑さでフラフラしていたので、一度帰った。片道1時間ちかくかかるのに。帰る途中で少しだけ雨。家で1時間だけ寝る。
午後、家を出ると強い日射し。もわっとする熱気。駅前で段ボール敷いて寝てる人。ぼくもその場にへたりこんで、眠ってしまいたい。へろへろになって歩く。
結局、用事は30分もかからずに済む。この30分のために1日使ってしまったという感じ。
家に着いてテレビをつけると、『東京ラブストーリー』の再放送をやってる。これ、8年くらい前にやってたんだっけ。90年代始め頃と今では、いろんな意味で時代が全く変わってしまったのだなあ、と思いながら、半分寝ぼけながら観る。93年か94年頃に、なにかひとつの大きな断層があるように思う。出演者が妙に若いとか、髪型やメイク、着ているものや言葉使いがズレて見えるということだけでなく、こういう物語はもう今では成立しないだろうし、赤名リカというキャラクターの造形が、もう決定的に古臭いものになってしまっている。(鈴木保奈美が何故、当時あんなに人気があったのか、今ではまったく理解できなくなってしまっている。)でも、何が嫌かといって、ほとんどのシーンをちゃんと憶えてしまっている自分が嫌だ。いくら待っていても来ない織田裕二を待ちつづける鈴木保奈美。外では雨が降りはじめる。雨の当るガラス窓越しのショット。鈴木保奈美、にっこりと笑いながら『あっ、雨。なんか涙みたーい』。とかこんなシーンにグッときていた当時の自分が恥ずかしい。まあ、あの当時はいろいろとあって、ちょっと冷静ではなかったのだけど。
織田裕二江口洋介鈴木保奈美は、ぼくとほぼ同年齢。織田も江口も現役のトレンディ俳優(古語)なのだけど、どうしてもひと時代前の人という印象は拭いきれない。江口洋介は、アイドルと結婚したし、最近ちょっとリニューアルという感じもあるけど。そういえば同じくらいの時期に、織田裕二・主演の『就職戦線異常なし』という、今の学生が観たら怒り狂うような映画があった。各企業がこぞって、人材確保のために『セミナー』という名のもとに学生をあの手、この手で接待しまくる。おねがいですから、ウチに来てください、と頭を下げる人事担当者。と、まあ、こんな時代があった訳だ。