2020-03-24

●『ツィゴイネルワイゼン』(鈴木清順)をU-NEXTで観た。「半睡」(佐々木敦)を読んだら、どうしたって観たくなってしまう。

ずいぶん久しぶりに観たけど、やはりすごい映画だ。鈴木清順の映画のなかでもとりわけすごいのではないか。二時間半ちかくある長い映画だし、何度も何度も繰り返し観て知っているはずなのに、何度観てもこの映画は、「あれっ、ここで終わり…」となってしまうように、そろそろ終わるという気配もなく、いきなりふっと途切れるように終わる。

おそらく、ぼくがいままでで繰り返し一番多く観た映画は、『ションベンライダー』(相米慎二)か『ツィゴイネルワイゼン』だと思われる。高校生の時は、ミッドナイトアートシアターという枠で、深夜にノーカットでテレビ放送されたものを、160分録画出来るVHSテープで録画した『ツィゴイネルワイゼン』と『陽炎座』を、定期テストが終わる度に観るのが恒例となっていた。いまではもうなくしてしまったが、そのVHSテープは、その後も、浪人時代、大学時代に繰り返し再生された。

四十年前の映画。1980年にこの映画は、映画館ではなく、東京タワーの駐車場などに設置された、ドーム型のテントのなかで上映された(テント型の移動式簡易劇場で9万人以上の観客を動員したと言われる)。このような公開・上映のスタイルは、プロデューサーの荒戸源次郎がアングラ演劇をやっていた人だからこそ可能だったのだろう(当時のいわゆる「映画界」から独立したやり方でつくられ、上映され、ヒットした)。当時ぼくは13歳で、神奈川の西の方に住んでいたので、このテント型劇場で観てはいない。

この映画に出ていた頃の原田芳雄藤田敏八も、今のぼくより若い。そして、原田芳雄藤田敏八鈴木清順も、もうこの世にはいない。