ある日

朝から冷たい雨になる。随分と寒くなった。毎年、今頃の季節になると、何故か無性にアイスクリームが食べたくなる。駅前のスーパーと、電話料金を支払うための近くのコンビニと、延滞ビデオの返却へ行ったほかは、(雨に閉じ込められたみたいに)ほとんど部屋から出ることはなく、だからといって部屋で何をした訳でもなく、うだうだ過ごした日。遅い時間に行ったスーパーで、ただ「半額」だったからという以外に何の積極的な理由もなく、なんとなく買ってしまった「さんまの刺身」が、ちょっとびっくりするくらい美味しかったというほかには、とりたてて何もない1日。(「半額さんま」の以外な美味しさというのは、東海林さだお的な歓びという感じだった。そういえば金井美恵子がエッセイで、東海林さだお的な「セコさ」と、バルト的な「繊細さ」との関連性を指摘していたと思うのだが、それは結構本質的なことかもしれない。東海林さだおロラン・バルトの違いというのは、たんに背景にしている「文化」の違いに過ぎなくて、実は本質的には同じようなものなのかも。とかなんとか...。)