03/12/13

●展覧会まで、あと一ヶ月半を切った。だからと言って別に特別なことは何もなくて、搬入の前日まで普段通りに制作を続け、その時点で納得のいく作品を選んで画廊へ持ってゆき、展示の仕方などは作品を見てその場で考えるというのがいつものやり方で、前もって展示のプランなど何もなく、あえて言えば今回もドローイングを多く展示したいと考えているくらいのものだ。作品は展覧会のためにあるのではないし、展覧会という形式に従属するものでもない。とは言うものの、アトリエを訪れた何人かの人を除いて、初めて作品が他者の目に晒されるのが展覧会なわけで、この時期、そろそろプレッシャーがかかりはじめ、なんとなくそわそわと落ち着かない感じになり、今までやってきたことが突然色あせ、全く詰まらない、下らない、下手くそなものに思えてきて落ち込んだりと、ちょっと不安定にはなってくる。下手をすると、制作途中の作品を、あー、ダメだ、とか言って潰してしまいかねない危険な精神状態でもあるので、もし、今までやってきたことが全て詰まらないことだったとしても、あと一ヶ月半で全ての作品を作り替えることなど物理的に無理なのだから(実は、もしかしたら出来てしまうかもしれない、と思?てしまうところが「一ヶ月半前」という時期の危険なところなのだが)、良くても悪くても今回はこれでいくしかない、いや、これこそが今の実力なのであって、これを誤魔化すこともここから逃げることも出来ないのだ、と自分に言い聞かせて、冷静さを保たなければいけない。あと、部屋を留守にしている間に火事があって、作品が全部焼けてしまったらどうしよう、とかいうことがやたらと気になるのもこの時期で、やはりちょっとまともではないのかもしれない。(これを書いている今も、振り返れば向かい側の壁に制作途中の作品が何点か立てかけてあって、日記を書いている途中で何度も中断して、作品の状態を確認しては、また戻って来て日記のつづきを書くという感じなのだ。昨日などは、作品の進行具合がちょっと微妙なところだったので、寝る時に、夜中に目覚めた時そのまますぐ作品が見えるように、(三つの部屋をひとつに繋げて使用しているので)三つの照明全てをつけっぱなしで眩しいまま寝たのだった。実際には夜中目覚めても頭が呆けているので確認など出来ないのだが、作品が「見える」ような状態にしておきたかったのだ。)

●ずっと使っていなくて更新期間切れになってしまっていた蔦屋の会員カードを、先週、新規会員として加入し直して新しくして、4本ばかりビデオとDVDを借りていたのだが、今週はなにかとバタバタ忙しくて、1本も観られないまま返却することになった。で、その先週のことなのだけど、新規加入者にはこちらを差し上げています、と店員が厚紙で出来た箱をくれて、その重さから中身は恐らく(蔦屋のロゴ入りの)マグカップとかそんなものだろうと思っていて、帰ってあけてみたら、胃薬と、ドリンク剤と、缶入りカクテル(スクリュードライバー)と、おつまみ(梅を海苔で包んだもの)という、意味不明の組み合わせの試供品4点セットだった。多分、なにかしらの形で蔦屋と協賛している商品を詰め込んだのだろうと思われる、無理矢理文脈づければ、師走だ、忘年会だ、身体に気をつけようセット、とでも言うのだろうこの4品を見て、資本主義ってシュールだなあ、と思ったものだった。