●昼間は日が照っていたのだが、夜になってぼんやりと白い雲が空を覆い、重たく湿った風が、道路沿いに並んだ枝垂れ柳を揺らして吹き抜ける。街灯に照らされた柳の緑は、ギラついて見える。客待ちで停車しているタクシーのライトが点滅し、その脇を黒塗りの大型車が通ってゆく。視線を遮る、正方形の窓がびっしりと並ぶ高層ビルの窓は、全てがオレンジ色に強く輝いている。