ゆっくりと時間をかけて散歩した

●ずいぶんと久しぶりに、ゆっくりと時間をかけて散歩した。最初はそんなに歩くつもりはなかったのだけど、いつも曲がる道を一本スルーしてみたら、今まであまり見覚えのない地域に入って行ったので、そのままずっと歩いてみた。住んでいるところに案外近い場所に(と言っても、歩いて40分以上かかるけど)、結構本格的な感じの、敷地の広い禅寺があった。敷地に入ってみると、誰もいなくてしんとしていて、空気の感じも全然違ったのだけど、行く手がことごとく「立ち入り禁止」になっていて、奥までは進めなかった。(敷地内に立っていた説明書きによると、建立されたのは14世紀頃だそうで、今は周りが住宅ばかりで建て込んでいるけど、その当時は何もない野っ原だったと思われ、その頃には、この寺は異様なまでに「人工的」に見えたのだろうなあ、と思った。と言うか、正確には、敷地のなかに入って歩いている時に、周りが何もない野原だった状態のイメージが、ふいにくっきりと湧いてきたのだった。)道路を挟んだ向かいに、寺の駐車場があって(ここも立ち入り禁止で中までは入れないのだが)、敷地に巨大な藤の木がそびえていて(そのすぐ脇にはコンクリートで固められたS字に曲がりくねった小川が流れていた)、この樹とこの寺とではどちらが古くからここにあるのだろうとか思いつつ、その巨木をしばらく眺めていた。