●梅雨時の雨というより、夏の夕立のような雨。カーテンをひいたようにさっと光が遮られ、最初はごく小さな音の、遠くでたった雷の音が徐々に近づいてきて、それとともに空気が急速に湿り気を増す。ポツン、ポツン、と落ちてくる水滴に気付くと、それはすぐにザーッと降る雨にかわり、湿った匂いがふわっとたちこめる。雷の音はみるみる大きくなって空気を震わせ、雨もみるみる強さを増す。眩しく閃光がたったと思ったらほとんど間をおかずに爆音が轟く。かなり近くに雷が落ちたのだろう。その直後のビリビリとしびれるような空気の余韻も、その落雷の近さを感じさせる。だが、その派手な一発が済んでしまうと、雨は、後に湿気だけをのこしてあっさりと引いていった。