●夕方から用事があって表に出ると凄く寒い。6時過ぎで既に暗く、寒さのためか人通りのほとんどないアパートの前の通りに、冷たい風の吹き渡る音がやけにピューピューとたって耳につく。用事が終わった帰り道、寒いので駅の自動販売機であたたかい缶コーヒーを買う。ガチャンと音をたてて取り出し口にコーヒーが落ちて来たところで、ホームに電車が滑り込んできたので、缶を手に取り、栓は開けずにそのまま乗り込む。けっこう混んでいたので、車内で開けて飲むことが出来ず、缶コーヒーは手に持ったまま。缶を両手で挟み、そのあたたかさを感じている。電車は混んだままで、なかなか空かないので、そのうち手の中の缶はなまあたたかくなってくる。ずっと手でもっているのも鬱陶しいので、無理矢理ジャケットのポケットにねじ込む。ポケットは不自然に膨らむ。で、電車に揺られているうちに缶コーヒーの存在を忘れてしまう。部屋に戻ってジャケットを脱ぐ時に、その不自然な重さから、ポケットのなかの缶コーヒーの存在を思い出す。すっかりあたたかさのなくなってしまった缶コーヒーを飲む気持ちはなくなってしまっていて、それを冷蔵庫にしまって、コーヒーを入れるお湯を湧かすためにガスレンジに火をつけるのだった。
●用事は吉祥寺のA−thingsでの展示の打ち合わせ。昨年末に告知したのとは会期がちょっとズレて、4月5日(水)から5月7日(日)まで(月、火、休み、pm13:00〜19:00、最終日は17:00まで)の展示となりました。A−thingsはアーチストブックや雑貨などを扱うショプでもあり、それら雑多なものたちと作品とが同時に同じ空間に置かれることになります。(前にも書きましたが、新作展ではなく、ここ何年かの近作のなかからセレクトして展示することになります。もしかしたら、新作も展示されるかもしれません。)