金柑と夏蜜柑の木

●いつも買物に行くスーパーへの途中のT字路の角の家の庭に、金柑と夏蜜柑の木が並んで生えていて、この冬じゅう鮮やかに黄色い実を垂らしていて、今もまだ、かわらずに実が垂れている。(ぼくは、夏蜜柑は夏に実が成るのだとばかり思っていて、では、あの冬に実をたらしている夏蜜柑そっくりものもは、何と呼ぶのだろう、と、疑問だったのだが、夏蜜柑は冬に実が成って、それを夏までそのままで熟させて食べるので、夏蜜柑と言う、というのを、最近知った。)自分の部屋から買物に行く時、そして、どこかからの帰り道に買物をして、部屋へと向かう時、そのどちらも、ということはほぼ毎日なのだが、この家のある角を曲がり、この、小粒で引き締まった感じのする緑の濃い葉に囲まれて垂れ下がる、鮮やかな黄色(大きくて重く垂れる夏蜜柑と、小さくて沢山ついている金柑)を、その度毎に目にしていたことになる。(ぼくの実家にも、金柑の木は2、3本あるのだが、熟したそばからもいで、甘露煮とかにして食べてしまうし、人間が食べなくても、鳥が来て食べてしまうので、一冬を越えて、ずっと鮮やかに黄色でありつづけることはないのだった。)この角の家では、ピアノとバイオリンを習っている子供か、もしくは大人がいるらしく、たまに、合奏している音が聞こえて来る。