●保坂さんに声をかけていただき、樫村さんとお会いすることが出来た。ピリピリと全身に緊張の張りつめた感じの人だろうと予想して(ビビッて)いたのだが、とても当たりのやわらかい、細かな気配りをされる方で驚いた。しかしそのやわらかさは、常に自分を抑制的、意識的にコントロールすることの必要性によって生まれるもののようだ。話している(というか、話を聞いている)うちに何度も、「樫村晴香のテキスト」を読んでいる時に感じるものと同様の感触が随所に顔を覗かせるのだった。特に、「花咲か爺さん」における「犬への愛」の手触りについての話しをしている時は、「ああ、今、目の前に樫村晴香がいるのだ」ということがとても生々しく感じられるのだった。(楳図論に書いていることに近いものを、もっと生々しい形で語っていたのだった。樫村さんは、今日の話したことについて何を書いてもかまわない、と言って下さったので、この話については自分なりになんとかまとめてみたいと思うのだが、かなり複雑な話なので、ちゃんと記述出来るかどうか分からない。どちらにしろ、今日はとても濃密な時間で、そのためどっと疲れが出て今ほとんど頭が働いていないので、それは今後改めて。)
樫村さんが、リンチの『ワイルド・アット・ハート』について、「あれは私の生きている世界にとても近い」と言っていたのが、意外なようでもあり、納得出来るようでもあって、印象に残った。