08/03/28

●近所の川縁の桜並木はまだ満開ではなく、木によってばらつきがあるけど、六分から八分くらいの咲きだった。桜は、全体を引いて眺めるよりも、木の下に入って見上げて、空を背景に眺めた方がより一層異様な感じが増して、しかも、晴れた青い空よりも、今日のような薄曇りでぼんやりと白い空が背景の方が、その非現実的な薄ピンク色の散らばりの浮ついたような霊気が強まって(空の色も桜の色も同様に不安定で、コントラストも強くないから対比的にも不安定で、より妖しい)、桜の並木の下の道を、ぽかんと口をあけたようにして上を向きながらゆっくりと歩いていると(移動しながら見ると、よりクラクラ度が増す)、すっかりトリップしたような感じになる。桜を見る度に、やっぱりジャクソン・ポロックは偉大だなあと思う。
桜の花は、図案化された桜のマークに全然似ていない。いわゆる桜色ですらない。いい感じの薄曇りだなあと思っていたら、雨が降ってきた。
●高校生の時、チャリンコ通学で、川縁の道を海の方へ向って下ってゆくのだけど、そこにもずらっと並んだ長い桜並木があって、でも、満開の時はたいがい春休みだし、桜の木は花が咲いていない夏の時期は異様に毛虫の多い木で、自転車ではしっていると上から毛虫がポタポタ落ちてきて、頭や肩についたり、道路に潰された毛虫の死骸が沢山貼り付いていたりした。毛虫ストリートの距離はけっこう長くて、その間じゅう、ちょっと首をすくめるような感じでペダルを漕いだ。