●本の装丁のデザインが決まる。ぼくのドローイングを素材として、名久井直子さんにデザインしていただいた。編集者からは、「古谷さんが自分でやってもいいのではないか」とも言われたのだけど、是非、名久井さんにお願いしたいと言っていた。たまたま、名久井さんは青土社で「ユリイカ」の表紙のデザインをされていたこともあって、すんなり受けていただけた(でも、青土社での書籍の仕事ははじめてらしい--訂正、川上未映子に次いで二冊目だそうです)。
他人にお任せするということはつまり、自分の頭からは決して出て来ないようなものを期待するということで、そのような意味で、ぼくがイメージしていた感じの延長にありながら、ぼくが自分でやったのでは決して出来ないようなものが出来てきて、とても良かったと思う。名久井さんの仕事は、たんにレイアウトというのではなく、紙の質の選択から、インクの質(光沢がある/ない、とか)、印刷上の様々な効果、微妙な色調等々の、すべてをひっくるめた組み合わせのとても絶妙な(微妙な、あやうい)バランスで成り立っているものが多いので(だから写真とかで見るとけっこう地味だったりもする)、今日ぼくが見ることのできた、パソコン上でのpdfファイルだけでは、「だいたいこんな感じだろう」と推測することが出来る、というくらいのものなのだけど、実物が刷り上がってきて、実際に見てみるのがとても楽しみなものだった。
●淡々とこなすしかない用事のノルマを、今日も淡々とこなした。
●停車中の電車に乗ったらちょうど席が一つ空いていたので座った。すると、隣りがホームレス風のおっちゃんで、かなり臭いがきつかった。そのおっちゃんは、ぼくとは反対側の隣りに座っている金髪のおにいちゃんにお金をせびっていた。おにいちゃんからお金をもらうことの出来たおっちゃんは、用は済んだと立ち上がった。おっちゃんのズボンはずり下がっていて、ケツが半分以上出ていた。そして、驚くべきことに、おっちゃんの下着は黒のティーバックで、ぼくの顔のすぐ前には、おっちゃんの生のケツがほぼ丸出しに近い状態であった。おっちゃんは、臭いがきつく、髪もぼさぼさで、服も、顔や手の肌も薄汚れているのだが、何故かケツだけはまっしろでつるっとして形もよく、そのギャップもあって、ぼくは目の前のそれに見入ってしまった。うわー、おっちゃんケツきれい、と思って、ホームへと去って行くおっちゃんのケツをずっと目で追っていた。