甲州街道の銀杏並木は、毎日ものすごい量の葉を落としているのだが、いっこうに打ち止めにはならず、商店の人がきれいに掃除しても、翌日にはまた舗道は落ち葉で埋め尽くされる。イチョウの落ち葉は枯れ葉という感じではなくて、まだまだ水分をずいぶんと含んでいる感じで、匂いも強く、踏んでもガサッと割れる感じではなくやわらかくしなって、よく見てみると、完全に黄色くなりきってない、うっすらと黄緑色が残っている葉もかなり混じっている(うっすらと黄緑色が残っている葉の色がとても好きだけど、この色は写真に撮っても正確に再現されないし、葉を持ち帰っても変色して消えてしまうので、結局、この時期のイチョウの落ち葉としてしか見られない、色を「正確に記憶する」ことはぼくにはほぼ不可能だから、色の「かたち(イメージ)」=感触として、できるだけ「的確に掴んで」おきたいと思う)。葉が落ちて、いつもはびっしりとついた葉で隠されている枝の伸び方が、間引きされた葉の隙間から虫食いみたいに見える状態が面白くて、普段はまったく使わない携帯電話のカメラで撮ってみようと思ったのだが、使わないうちに壊れてしまったみたいで、ピントがまったく合わなくなっていた。とりあえず、ピンボケの状態で一枚撮ってみる。カシャッという、シャッター音を模した電子音がするのだが、ぼくにはこの音が何故かとても気に障る。ピロピロピローンみたいな音は、間が抜けているから好きなのだが。