●「作品」というのは、基本的に過去と未来とにかかわるもので、現在とはあまり関係がないものなのではないか(というか、であるからこそ現在とはすれ違うのではないか)。あるいは、作品の現在性とは、徹底してアクチュアルではない現在に向けられるものなのではないか。今、ここ、に「あるもの」を用いて、今、ここ、では「ないもの」の存在を(今、ここ、とは別種の経験を)構成する。それは、過去を通って未来に突き当たったり、未来の方を向きながら過去に出会ったりする。今、ここ、しか見ない人にとっては、それはゼロでしかないかもしれない。