●電車が川にさしかかる。窓から外を見ている。対岸の土手沿いの道を、遠くから、白いシャツ、白い帽子の人が乗った自転車が走ってくる。自転車はみるみる近づいてくる。電車も自転車に近づく。電車と交錯するように、自転車は鉄橋の下に潜り込む。電車はそのまま先へ進む。きっと、自転車もそのまま進んでいる。
●探し物が見つからない。もう何日も探しているのに、本格的に見つからない。間違って捨ててしまっていないなら、必ずそれは部屋のどこかにあるはずなのに。怖くてゴミが出せない。ゴミ袋をひっくりかえしてなかを確認するのも、何度目かだ。